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リジュセア®ミニ点眼治療

子供の近視進行

近年、小児の近視進行は重大な健康問題として世界的に広く認識されています。近視は遠くの物がぼやけて見える状態で、その進行には遺伝的要因と環境要因が関与するとされています。特に、昨今の屋外活動の減少やデジタルデバイス等による近距離作業の増加が進行を促していると考えられています。

近視の進行メカニズムの一つとして、眼軸が伸びることが挙げられます。眼球が前後方向に伸びると、焦点が網膜の手前に形成されてしまい、遠くがぼやけて見えるようになります。

近視の進行は視力低下だけでなく、将来的に緑内障、網膜剥離、黄斑変性などの発病リスクを高める可能性があり、これらの疾患は視力喪失や失明につながる可能性があるため、早期の予防と管理が重要です。

リジュセア®ミニ点眼液0.025%とは

リジュセア®ミニは低濃度アトロピン(0.025%)を有効成分とする、日本で初めて「小児近視進行抑制」を効能・効果として承認された点眼薬です。虹彩・毛様体への移行を抑え、後部強膜へ選択的に到達するよう処方設計されているため、散瞳や調節麻痺による日常生活への影響を最小限に抑えながら近視進行を抑制します。防腐剤を含まない 0.3 mL の一回使い切り容器で提供され、衛生的かつ取り扱いが容易です。

有効性エビデンス(ORANGE STUDY)

日本国内の34の施設で、5〜15歳のお子さん299名を対象に行われた「ORANGE STUDY」では、毎晩リジュセア®ミニ点眼液を2年間続けたグループと、見た目は同じでも成分の入っていない点眼液(偽薬)を使ったグループを比較しました。

その結果、以下のような有意な近視進行抑制効果が確認されました:

  • 等価球面度数(メガネの度数)では、プラセボ群に比べて約0.64D分進行を抑制  
    → 近視の進み方が 約39% 抑えられました
  • 眼軸長(眼の奥行き)では、プラセボ群に比べて約0.23mm分の伸びを抑制
    → 眼軸の伸びが 約32% 抑えられました

これらの効果は、いずれも統計的に有意な結果(p<0.0001)であり、リジュセア®ミニが近視の進行を抑えるための有望な治療法であることが示されています。

■投与24ヵ月後における屈折値の変化量
■投与24ヵ月後における眼軸長の変化量

(参天製薬公式サイトより)

さらに 3 年目も点眼を続けたお子さんでは、この抑制効果がそのまま維持された一方、途中で点眼をやめたお子さんでは近視の進み方が再び速くなる傾向が見られました。効果を保つためには毎晩の点眼を継続することが大切であるとわかっています。

■投与36ヶ月後までの屈折値の変化量の推移
■投与36ヶ月後までの眼軸長の変化量の推移

(参天製薬公式サイトより)

治療対象となる方

  • 5歳以上の方
  • 軽度から中等度程度の近視(-6D以下)の方
  • 毎日就寝前に点眼が可能な方
  • 3ヶ月毎の定期通院が可能な方

診療費用について

「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」は薬価基準未収載医薬品のため、健康保険等の公的医療保険の給付対象外(自由診療)となります。また、本剤での治療に関わる検査や診察は下記価格での診療(自費)となります。なお、リジュセア®処方と同日に保険診療を行うことは可能ですが、点眼治療継続中の近視病名に関わる診療(眼鏡処方など)は全て自由診療となります(2025年4月7日より適用)。

診療カテゴリ内容価格(税込)
検査1屈折・視力・コンタクトレンズ定検など1,000円
検査2眼軸測定(半年毎)1,000円
検査3眼鏡処方1,000円
診察前眼部など1,000円
処方リジュセア®ミニ点眼液0.025%4,400円 / 1箱(30日分)

※. 検査料・処方料は予告なく変更される場合がございます。

診療の流れ

初診(保険診療)
初診時検査、診察

検査を行い近視の有無、治療適応について診察を行います。

必要に応じて、調節麻痺薬での屈折検査や眼鏡処方なども行います(以降は自由診療となります)。

開始時
リジュセア®ミニ点眼液 処方

点眼薬の説明ならびに同意確認の上、リジュセア®ミニ点眼液を1ヶ月分(1箱)処方します。

リジュセア®ミニ x 1箱 = 4,400円 

1ヶ月後
検査、診察

検査および診察にて継続可能か判断し、問題が無ければ3ヶ月分の点眼薬を処方します。

検査1 + 診察 + リジュセア®ミニ x 3箱 = 15,200 

3ヶ月毎 定期診察
検査、診察

検査および診察上で問題がなければ、以降は3ヶ月毎の定期検査を行なっていきます。

検査1 + 診察 + リジュセア®ミニ x 3箱 = 15,200円 

※ 眼軸測定(半年毎)を行った場合、
検査1 + 検査2 + 診察 + リジュセア®ミニ x 3箱 = 16,200円 

・上記診療の流れは一例になります。検査内容は適宜変更する場合がございます。
・定期検査や治療指示を守れない場合は、医師の判断で治療を中止することがあります。

Q & A

保険適応外なのは何故ですか?

リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、2024年12月に「近視進行抑制」の効能で厚生労働省の承認を受けましたが、薬価基準に収載されていないため、健康保険の適用外となっています。そのため、診察・検査・薬剤費用などすべてが自由診療(全額自己負担)となります。 

近視進行抑制効果はどの程度ですか?

国内の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験では、5歳~15歳の小児を対象に、24か月間の投与で近視度数として約39%、眼軸(目の長さ)の伸びとして約32%抑制され、近視の進行を有意に抑制する効果が確認されました。

視力は回復しますか?

リジュセア®ミニ点眼液は近視の進行を抑制するための治療であり、進んだ近視を弱めたり、視力を回復させたりすることは出来ません。

効果の無い方もいますか?

薬剤の効果には個人差があり、すべての患者さんに同じような効果が得られるわけではありません。治療効果が不十分な場合には、他の治療法との併用や治療方針の見直しが検討されます。

治療期間(点眼期間)はどのくらいですか?

近視の進行は成長期に著しいため、一般的には10代後半までの継続が推奨されます。ただし、治療期間は個々の進行状況や医師の判断により異なります。 まずは2年間点眼していただき、効果を見るのが望ましいと考えます。

中学生や高校生からでも点眼治療は開始できますか?

可能です。

最大限の効果を発揮するには早い段階での治療が望ましいですが、大人(18歳)になってからも近視進行するケースも報告されておりますので適応となる場合もございます。

眼鏡やコンタクトと併用は可能ですか?

併用可能です。コンタクトレンズを使用している場合は、レンズを外した後に点眼してください。

どのような作用機序で近視進行を抑制しますか?

詳しい作用機序はまだ解明されておりませんが、主成分であるアトロピンは網膜や強膜に存在するムスカリン受容体に作用し、強膜のリモデリングを抑制することで眼軸の伸長を防ぎ、近視の進行を抑制すると考えられています。

副作用はありませんか?

主な副作用として、5%以上の方に羞明(まぶしさ)が認められています。また、霧視(かすみ目)や調節障害(近くが見えにくい)などの症状も報告されています。これらは主成分であるアトロピンの調節麻痺作用や散瞳作用に起因する一時的な反応と考えられます。点眼時間の調整によって症状が軽減できることもありますので、気になる症状がある場合は、医師にご相談ください。

全身への影響はありますか?

現在のところ全身への重篤な副作用は報告されておりません。

注意すべきことはありますか?

リジュセア®ミニ点眼液は、1日1回毎晩忘れずに点眼を続けることがとても大切です。自己判断で中止すると、近視が急に進むリバウンドが起こる可能性がありますので、勝手にやめたりせず、必ず医師の指示に従ってください。

点眼薬を家族や兄弟間で使いまわすことは絶対にしないで下さい。

その他、気になることがあればご相談ください。

マイオピン点眼液からの移行はできますか?

マイオピン点眼液をご使用中の患者様は、リジュセア®ミニ点眼液への移行が可能です。マイオピン点眼(0.025%)は終売しており、当院での取り扱いも終了いたしましたので、今後は順次リジュセア®ミニ点眼液への切り替えをご案内しております。

オルソケラトロジーと併用できますか?

オルソケラトロジー治療を併用して行うことも可能です。相乗効果により更なる近視進行予防が期待されます。

オルソケラトロジーの治療につきましてはこちら

その他、ご不明な点はお気軽に当院スタッフまでお問い合わせ下さい。