オルソケラトロジー

オルソケラトロジーとは

オルソケラトロジーとは、特殊にデザインされたハードコンタクトレンズを就寝時に装用して近視を矯正する治療法です。レンズをつけるのは寝ている間だけなので、日中は裸眼で過ごすことが可能です。

一般的なコンタクトレンズとは異なり、特殊なデザインの高酸素透過性コンタクトレンズを寝ている間に装用する事で、睡眠中に角膜の形状が正しく矯正され、日中を裸眼で過ごすことができる近視矯正方法です。
アメリカでは30年以上前から、研究・処方され、現在、アメリカ・ヨーロッパ・アジアの諸国を中心に、世界各国でその安全性と有効性が認められ、実施されております。また、日本でも2009年に厚生労働省に承認されております。

2017年にはガイドラインの改訂により小児への適応範囲も拡大し、新しい近視進行抑制治療としても注目されています。

オルソケラトロジーで近視が矯正されるしくみ

つける前(近視の状態)

近視の場合、眼に入ってきた光は網膜の手前で焦点を結ぶため、ピントが合わずぼやけて見えます。

つけている間

特殊な形のレンズを寝ている間に付けて角膜を平たくすると、網膜上で焦点を結ぶようになり、ピントが合ってくっきり見えるようになります。

はずした後

平たくなった角膜は、レンズを外した後もしばらくは形が残ります。そのため、起きている間はピントが合ったまま、裸眼で過ごせる視力が得られます。

※効果には個人差があり、裸眼で見えるようになるまで2週間から1ヶ月程度かかる場合もあります。

メリット・デメリット

メリット
  • 日中は眼鏡やコンタクトレンズを付けずに裸眼で過ごせる
  • 手術の必要がない
  • コンタクトレンズが適さない激しいスポーツなどを裸眼で行うことができる
  • 装用を中止すれば元の状態に戻すことができる
  • 子どもの近視進行抑制効果が期待できる
デメリット
  • 毎晩レンズを装用する必要がある
  • 毎日のレンズケアが必要
  • しっかりとした定期検診が必要
  • 強い乱視や遠視は矯正できない
  • 夜間のハロー・グレア(光が周りに散って見える現象)が気になる場合がある

他の近視矯正治療との比較

長所短所
眼鏡・手軽にかけたりはずしたりできる
・手入れが簡単である
・ 激しい運動には不向き
・レンズがくもったり、視野が狭くなったりする
コンタクトレンズ・強い近視や乱視 遠視でも矯正できる
・容姿に影響を与えずに使える
・眼鏡に比べると手軽にはつけはずしできない
・ゴーグルなしで水泳には使えない
オルソケラトロジーレンズ・日中は裸眼で過ごせる
・中止すれば2週間程度で元の角膜形状に戻る
・夜間に継続してレンズを装用しなくてはならない
・強度近視や乱視、遠視は矯正できない
レーシック・常に裸眼で過ごせる
・ケアの手間や追加費用がかからない
・外科手術が必要で、元の角膜形状には戻せない
・ 18歳以上でないと手術を受けられない

治療適応範囲

  • -4.0Dまでの近視度数の方
  • -1.5Dまでの乱視度数の方
  • 睡眠時間を6時間以上確保できる方
  • 目の病気(角膜疾患、緑内障、ぶどう膜炎、網膜疾患、弱視など)がない方
  • 適応年齢:小学生以上

向いている方

  • 日中の眼鏡やコンタクトレンズの不快感から解放されたい方
  • 裸眼でスポーツを楽しみたい方
  • レーシックなどの外科的手術に抵抗がある方
  • お子様の近視の進行をなるべく抑えたい方

禁忌(適していない方)

  • 上記適応条件を満たさない方
  • 重症なドライアイがある方
  • 妊娠中、授乳中の方
  • 夜間に運転をされる方
  • 十分な睡眠時間をとることができない方
    (矯正の効果を得るためには6時間以上の睡眠が必要です。)
  • 適応検査の結果、矯正不可能または矯正可能率が低いと判断された方
  • 医師の指示やマニュアルに従ってコンタクトレンズを取り扱うことができない方

費用について

オルソケラトロジー治療は厚労省の認可を受けていますが保険診療の適応で無いため、全て自由診療となります。そのため、同日の保険診療を行うことは出来ません。

オルソレンズは貸し出しとなりますため、治療中止または継続されない場合は返却いただきます。

オルソケラトロジー治療は医療費控除の対象になります。詳しくは、国税庁のサイトをご覧ください。
オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用の医療費控除

適応検査5,500円
 
装用練習・テスト装用5,500円
 
初年度費用合計両眼:165,000円
片眼:110,000円
    (内訳)1ヶ月お試し費用
 (レンズ保証金,ケア用品,管理費)
55,000円
治療継続費用/本契約
(3ヶ月毎検査費用含)
両眼:110,000円
片眼:55,000円
 
2年目以降(年払い)33,000円
    (内訳)3ヶ月毎の定期検査費用
レンズ更新(2年毎)・紛失・交換38,500円/枚
※1. 表示は全て税込価格です。
※2. 表示価格は予告なく変更される場合がございます。

治療の流れ

オルソケラトロジー治療スケジュール
  • 初診
    初診時検査(保険診療)

    当院に受診歴の無い方は一度通常の受診受付をお願い致します。

    通常検査で眼疾患の無いことを確認し、次回の適応検査の予約をお取り致します。(※以降は自由診療となります)

  • 適応検査
    適応検査・テスト装用

    角膜の形状解析等にてオルソレンズの適応となるか検査を実施します。

    実際に装用し、フィッティング状態を確認、装用可能かを判断致します。

    装用可能と判断された後、レンズのご注文となります。

  • 治療開始
    レンズお渡し

    レンズをお渡しし、1ヶ月分のお試し費用(55,000円)をお支払い頂きます。

  • 開始翌日
    検査・診察

  • 1週間目
    検査・診察

  • 2週間目
    検査・診察
  • 1ヶ月目
    定期検査・治療継続の決定

    治療開始1ヶ月目で治療継続かを判断致します。

    継続の場合は、本契約として初年度分の治療費をお支払い頂きます。

    治療継続しない場合は、お試し費用から管理費(11,000円)を差し引いた差額(44,000円)を返金致します。

    ※本契約後は、一切の返金をお断りさせて頂きます。

  • 3ヶ月目
    検査・診察

  • 以後、3ヶ月毎
    定期検査

    以降は3ヶ月毎の定期検査となります。

    2年目以降は別途治療費(年払い)、レンズ更新費用が発生致します。

Q&A

Q
どんな人に向いていますか?
A

普段激しいスポーツをされる方や、メガネやコンタクトに不便を感じている方等です。

また、小児の場合、近視進行の抑制効果が期待できます。

Q
治療に向かない人はどんな人ですか?
A

強度の近視や遠視、乱視、眼疾患のある方。

コンタクトレンズの取り扱いができない方、医師の指示に従うことができない方。

不規則な生活を送っている方(6時間以上睡眠のとれない方)。

妊婦、授乳中の方や妊娠予定のある方。

職業として常時適切な視力が必要な方(航空機パイロットなどは不適)。

Q
近視の度数などに制限はありますか?
A

軽度から中等度までの近視が対象です。原則、近視度数-4.00D程度、乱視度数-1.50D程度までが対象となります。

Q
近視は治りますか?
A

本来の近視が治るわけではありません。治療をやめると効果はなくなり、元の見え方に戻ります。

Q
子どもの近視進行はどのくらい予防できますか?
A

過去の研究において、オルソケラトロジーによって眼軸長の延長が抑制され近視の進行が抑えられたとの報告が多数あります。通常のメガネと比較し、平均43%(24〜63%)の近視進行抑制効果があるとされています。

Q
マイオピン点眼と併用はできますか?
A

小児でマイオピン点眼と併用は可能です。近視進行抑制の相乗効果が期待されます。

マイオピン点眼についてはこちら

Q
老眼は治りますか?
A

老眼は治りません。老眼がある方の場合は、老眼鏡が必要となります。

Q
途中でやめるとどうなりますか?
A

1~2週間程度で角膜の状態は元通りになり、本来の近視の見え方に戻ります。その後、他の矯正方法へ変更もできます。

Q
年齢制限はありますか?
A

レンズの管理と取り扱いが可能な方であれば特に年齢の制限はありません。幅広い年齢層が治療の対象となっています。

Q
レンズの寿命はどれくらいですか?
A

安全性を確保するため、約2年程度での交換が必要になります。

Q
注意しなければならない事はありますか?
A

通常のコンタクトレンズと同様に、目の感染症には特に注意が必要です。レンズを清潔に保つことはもちろんですが、装用中に異常を感じた場合はすぐに装用を中止し、受診して目の状態を確認してください。

Q
レンズの取り扱い方法はどのようなものですか?
A

基本的な取り扱いは通常のハードコンタクトレンズと変わりません。感染症対策のため、毎日の念入りなこすり洗いとつけ置き洗いが必要です。

Q
他の眼科でオルソケラトロジー治療中ですが、継続して治療を受けることはできますか?
A

オルソケラトロジーはレンズの貸し出しによる治療となりますので、当院での治療の場合は新しくレンズを作成し、初年度からの治療契約となります。

Q
治療途中に遠方に引っ越してしまう場合はどうすれば良いですか?
A

通院が難しい方は治療中断となりますので、レンズを回収させて頂きます。