2024年8月からの診療体制について詳細

マイオピン®点眼治療

子供の近視進行

近年、小児の近視進行は重大な健康問題として世界的に広く認識されています。近視は遠くの物がぼやけて見える状態で、その進行には遺伝的要因と環境要因が関与するとされています。特に、昨今の屋外活動の減少やデジタルデバイス等による近距離作業の増加が進行を促していると考えられています。

近視の進行メカニズムの一つとして、眼軸が伸びることが挙げられます。眼球が前後方向に伸びると、焦点が網膜の手前に形成されてしまい、遠くがぼやけて見えるようになります。

近視の進行は視力低下だけでなく、将来的に緑内障、網膜剥離、黄斑変性などの発病リスクを高める可能性があり、これらの疾患は視力喪失や失明につながる可能性があるため、早期の予防と管理が重要です。

マイオピン®(低濃度アトロピン)とは

マイオピン®(低濃度アトロピン)は、小児期の近視進行の軽減を目的に、シンガポール国立眼科センターの研究に基づいて開発・製造された点眼薬です。この薬剤は通常のアトロピンよりも低濃度(0.01〜0.025%)であり、副作用が少ないため、長期間の使用が可能です。多くの研究において、低濃度アトロピンが近視の進行を約30〜60%程度抑制することが示されています。このため、近視の進行を防ぐための有効な手段として注目されています。

マイオピン®の特徴

  • 毎日、就寝前に1回1滴点眼のみの治療法です。
  • 重篤な副作用の報告はありません。
  • 日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です。
  • 目の遠近調整機能(手元を見る作業)にほとんど影響を与えません。
  • 本製品はGMP(医薬品製造管理及び品質管理基準)準拠の工場で製造されています。

治療対象となる方

軽度〜中等度の近視の方
6歳〜12歳の学童の方*
3ヶ月に1回の定期通院が可能な方

*12歳以上の方でも対応は可能です

診療費用について

現在、マイオピン点眼は日本で未承認薬剤であることから、自由診療(自費診療)による治療となります。マイオピン処方と同日に保険診療を行うことはできません(保険診療の例:アレルギー性結膜炎の治療、眼鏡処方を行うなど)。

診療カテゴリ内容価格(税込)
検査1屈折・視力など1,000円
検査2眼軸測定(年1回)1,000円
検査3眼鏡処方1,000円
診察前眼部など1,000円
処方マイオピン0.01%
マイオピン0.025%
3,300円 / 本
4,300円 / 本

※. 検査料・処方料は予告なく変更される場合がございます。

診療の流れ

初診(保険診療)
初診時検査、診察

検査を行い近視の有無、治療適応について診察を行います。

必要に応じて、調節麻痺薬での屈折検査や眼鏡処方なども行います(以降は自費診療となります)。

開始時
マイオピン処方

点眼薬の説明ならびに同意確認の上、マイオピン点眼を1ヶ月分(1本)処方します。

マイオピン(0.01%) x 1本 = 3,300円 

1ヶ月後
検査、診察

検査および診察にて継続可能か判断し、問題が無ければ2ヶ月分の点眼薬を処方します。

検査1 + 診察 + マイオピン(0.01%) x 2本 = 8,600円 

2ヶ月後
検査、診察

2ヶ月後の検査および診察にて問題がなければ、以降は3ヶ月毎の定期検査となります。

検査1 + 診察 + マイオピン(0.01%) x 3本 = 11,900円 

3ヶ月毎 定期診察
検査、診察

3ヶ月毎の定期検査および診察を行なっていきます。

検査1 + 診察 + マイオピン(0.01%) x 3本 = 11,900円 

※ 眼軸測定(年1回)を行った場合、
検査1 + 検査2 + 診察 + マイオピン(0.01%) x 3本 = 12,900円 

近視の進行が早い場合や点眼効果不十分の場合は、マイオピン0.025%(4,300円)を検討・ご提案致します。

※上記診療の流れは一例になります。検査内容は適宜変更する場合がございます。

Q & A

保険適応外なのは何故ですか?

マイオピンは日本では認可されていない薬剤のため、保険適応外となります。

多くの大学病院で研究が進められていますが、日本国内では保険診療の対象に至るまでの有効性を示すデータがまだ報告されていません。

シンガポール国立大学の臨床試験では近視抑制効果が証明されています。

近視進行抑制効果はどの程度ですか?

6歳〜12歳を対象にした2年間の研究結果より、近視の進行を平均60%軽減させると言われています。

また、近視を完全に進まなくすることは出来ません。

視力は回復しますか?

マイオピン点眼は近視の進行を抑制するための治療であり、進んだ近視を弱めたり、視力を回復させたりすることは出来ません。

効果の無い方もいますか?

近視進行抑制効果は、あくまで2年間の研究に基づいた結果であり、全ての方に効果があるわけではありません。

まずは2年間点眼治療を継続していただき、効果を判定する事が望ましいと考えます。

治療期間(点眼期間)はどのくらいですか?

年齢にもよりますが、最低2年以上の継続点眼をお勧めしています。研究に基づく推奨年齢は6歳〜12歳での点眼治療ですが、効果によってはそれ以上の長期間の点眼も考慮されます。

まずは2年間点眼していただき、効果を見るのが望ましいと考えます。

12歳以降からでも点眼治療は開始できますか?

可能です。

推奨年齢(6〜12歳)はあくまで研究での対象年齢に基づくもので、それ以降の臨床的なデータはありません。しかし、12歳を超えてからも近視は進行するため、それらに対する効果は期待できるものと考えられます。

眼鏡やコンタクトと併用は可能ですか?

可能です。

コンタクト併用時は、就寝時コンタクトを外してから点眼を行って下さい。

どのような作用機序で近視進行を抑制しますか?

詳しい作用機序はまだ解明されておりませんが、ムスカリン受容体に拮抗作用を示すことで眼軸の伸長を抑制すると考えられています。

副作用はありませんか?

点眼後7~8時間ほどまぶしさを感じたり、ぼやけることがありますが、就寝前に点眼すれば翌日の生活に支障はありません。

まれに点眼によるアレルギー反応が起こることもあります。

全身への影響はありますか?

現在のところ全身への重篤な副作用は報告されておりません。

注意すべきことはありますか?

目薬からの感染リスクを避けるため、点眼は1ヵ月に1本使用し、余ったら破棄してください。

家族や兄弟間で使いまわすことは絶対にしないで下さい。

朝になってお子さまがいつもより眩しがるようであればアトロピンの瞳孔を大きくする効果がまだ残っていると考えられます。その場合、点眼時間を眠前から1~2時間早めてください。

その他、気になることがあればご相談ください。

オルソケラトロジーと併用できますか?

オルソケラトロジー治療を併用して行うことも可能です。相乗効果により更なる近視進行予防が期待されます。

オルソケラトロジーの治療につきましてはこちら

その他、ご不明な点はお気軽に当院スタッフまでお問い合わせ下さい。

マイオピンの製品情報につきましてはこちら(※外部サイトに繋がります)