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近視とは

近視とは?お子さまの目に起きていること

「学校の健診で視力低下を指摘された」
「近視ですね、と言われたけれど、よく分からない」
そんな方に、待ち時間のあいだにお読みいただけるよう、
近視のしくみと、いま分かっていることをやさしくまとめました。

このページでわかること

1

近視の目で
何が起きているのか

2

進行すると
どんなリスクがあるか

3

今日からできること
と当院の治療

図解・近視の目で起きていること

目は「カメラ」によく似ています

目に入った光は、まず角膜、続いて水晶体という2枚のレンズで曲げられ、目のいちばん奥にある網膜(カメラのフィルムやセンサーにあたる部分)でぴたりと一点に集まります。この、ちょうどよくピントが合っている状態を「正視」といいます。

正視の目。光は網膜のうえでちょうどピントが合います。

近視の目は「奥行き」が伸びています

お子さまの近視の多くは、眼球が前後方向に伸びてしまうことで起こります。これを軸性近視(じくせいきんし)といいます。フィルムにあたる網膜が後ろへ下がってしまうため、ピントが網膜の手前で合ってしまい、遠くのものがぼやけて見えるようになります。

近視の目。眼球が前後に伸び、ピントが網膜の手前で合ってしまいます。

いちばん大切なポイント

一度伸びてしまった眼軸長(がんじくちょう=眼球の前後の長さ)は、元には戻りません。身長が縮まないのと同じです。
だからこそ、近視の治療の目標は「治す」ことではなく、これ以上伸びるスピードをゆるやかにすることになります。

※ 近視には、角膜や水晶体の光を曲げる力が強すぎることで起こる「屈折性近視」もありますが、お子さまの近視の大半は眼軸が伸びるタイプです。

なぜ近視になるの?

近視には「遺伝」と「環境」の両方が関わっていることが分かっています。どちらか一方だけが原因ということはありません。

近視のなりやすさには、遺伝(左)と生活環境(右)の両方が関わります。

遺伝的な要因

ご両親のどちらかが近視だとお子さまも近視になりやすく、ご両親おふたりとも近視だと、その傾向はさらに強くなります。とくに就学前から強い近視がある場合は、遺伝の影響が大きいと考えられています。

※ ご両親が近視でなくても、お子さまが近視になることはあります。

環境的な要因

屋外で過ごす時間が少ないこと、そして近くを見続ける作業(近業)が多いことが関係します。スマートフォンやタブレット、ゲーム機を近い距離で長時間使うことも、近視との関連が指摘されています。

※ 機器そのものより「どのくらいの距離で、どれだけ続けて見るか」が問題になります。

遺伝は変えられませんが、環境は今日から変えられます。ご家族に強い近視の方がいらっしゃるお子さまほど、生活習慣の工夫が大切になります。

子どもの近視は増えている

文部科学省の調査によると、裸眼視力が1.0未満のお子さまの割合は年々増え続け、令和6年度(2024年度)はいずれの学校段階でも過去最多となりました。

小学生

36.8%

およそ3人に1人

中学生

60.6%

およそ5人に3人

高校生

71.1%

初めて7割を超えました

裸眼視力1.0未満の割合/文部科学省「令和6年度 学校保健統計」

近視の増加は日本だけの問題ではありません。世界的な研究では、2050年には世界人口のおよそ半数が近視になると予測されており、近視は「現代病」として国際的な課題になっています。

※「裸眼視力1.0未満」の全員が近視というわけではありませんが、その多くは近視によるものと考えられています。

近視の「強さ」の分け方

近視の強さは D(ジオプター) という単位で表します。健診の結果や眼鏡の処方箋に書かれている「−2.50」のようなマイナスの数字が、これにあたります。数字が大きい(マイナスが深い)ほど、近視が強いことを意味します。

分類度数の目安見え方のイメージ
弱度近視−0.5D以上
−3.0D未満
遠くがややぼやける。黒板の文字が見えにくくなることがある
中等度近視−3.0D以上
−6.0D未満
裸眼での生活が不便になり、常時の矯正が必要になることが多い
強度近視−6.0D以上眼球が大きく伸びており、将来の目の病気のリスクが高まる
日本近視学会による分類

「眼軸長」も、とても大切な指標です

当院では度数だけでなく、眼球の前後の長さ(眼軸長)も測定しています。眼軸長は近視の進み具合をもっとも正確にとらえられる指標で、治療の効果を判定するときにも使います。検査は目に触れずに数秒で終わり、痛みはありません。

※ 眼軸長はおおよそ、大人で24mm前後が目安です。1mm伸びると、およそ2〜3D近視が進む計算になります。

近視が進むと、将来どうなる?

近視は「眼鏡をかければ済むもの」と思われがちです。けれども近年の研究で、近視が強くなるほど、将来さまざまな目の病気が起こりやすくなることが分かってきました。これが、近視の進行を抑える治療が世界中で行われるようになった理由です。

強度近視の目。眼球の奥が後ろへ張り出し、その部分の網膜が引き伸ばされて薄くなります。
病気どんな病気か近視との関係
緑内障視神経が少しずつ傷み、見える範囲(視野)が欠けていく弱い近視でも起こりやすくなり、近視が強くなるほどリスクが高まる
網膜剥離網膜がはがれ、急に視力が低下する。手術が必要になる近視が強いほどリスクが大きく上がる
近視性黄斑症ものを見る中心である黄斑が傷み、中心が見えにくくなる強度近視でとくにリスクが高い
白内障水晶体が濁り、かすんで見える近視のある方では発症が早まる傾向がある

これがいちばん伝えたいことです

これらのリスクは、強度近視の方だけの話ではありません。弱い近視であっても、緑内障などのリスクは上がることが報告されています。
だからこそ、できるだけ弱い近視のうちにとどめておくことに大きな意味があります。「−1.0D 進むのを防ぐ」ことが、そのまま将来のリスクを下げることにつながります。

※ リスクの大きさには個人差があり、近視だからといって必ずこれらの病気になるわけではありません。定期的な検査で早く見つけ、早く対応することが大切です。

近視はいつ進むの?

近視は小学3〜4年生ごろに始まることが多いのですが、近年は低年齢化が進み、6歳より前に近視になるお子さまも増えています。

背が伸びる時期に、眼球も前後に伸びていきます。
  • 発症が早いほど、将来強い近視になりやすい傾向があります
  • およそ5〜18歳、とくに身長がぐんと伸びる時期に進みやすくなります
  • 年齢が低いほど、1年あたりに進む量が大きくなります
  • 進行は17〜18歳ごろまで続くことが多く、その後ゆるやかになります

進行のスピードがいちばん速いのは、小学校低学年から中学年のうちです。「まだ小さいから様子を見ましょう」ではなく、早く気づいて、早く手を打つことが、将来の見え方を守ることにつながります。

今日からできること

生活習慣の工夫は、近視の発症を遅らせることが期待できます。ご家庭で今日から始められる3つのことをご紹介します。

1日2時間、外で過ごす

木陰でも十分。「外にいる時間」そのものが大切です。

屋外の明るい光には、近視の発症を抑えるはたらきがあると考えられています。真夏の直射日光を浴びる必要はまったくなく、木陰でも十分です(1,000〜3,000ルクス程度の明るさがあれば効果が期待できます)。
まとめて2時間とる必要もありません。登下校や休み時間を合わせて、1日トータルで2時間を目安にしてみてください。

30cm離して、30分ごとに休憩

「離す」と「休む」。このふたつを習慣にしましょう。

本やタブレットは、目から30cm以上離しましょう。そして30分ごとに顔を上げて、遠くを20秒ほど眺めるだけでも、目の負担がやわらぎます。
寝転がって画面を見る、暗いところで見る、という姿勢は距離が近くなりがちなので避けてください。

手元は十分な明るさで

読み書きをする場所は、200ルクス以上の明るさを保ちましょう。部屋の照明だけで暗いと感じるときは、デスクライトを足してください。

※ これらの生活習慣は近視の発症を遅らせることが期待されていますが、すでに始まった近視の進行を生活習慣だけで止められるわけではありません。進行が気になる場合は、次にご紹介する治療をご検討ください。

眼科ではどんな検査をするの?

健診で視力低下を指摘されたら、まずは眼科で正確に調べることが第一歩です。当院では次のような検査を行っています。

  • 視力検査— 裸眼視力と、眼鏡やレンズで矯正したときの視力を調べます
  • 屈折検査— 近視・遠視・乱視の度数を測ります。お子さまはピント合わせの力(調節)が強くはたらき、実際より近視が強く出ることがあるため、必要に応じて調節麻痺薬の点眼を使って正確に測定します
  • 眼軸長測定— 眼球の前後の長さをはかります。目に触れずに数秒で終わり、痛みはありません
  • 眼底検査・細隙灯顕微鏡検査— 目の中に別の病気が隠れていないかを確認します

視力低下の原因は近視だけとは限りません。遠視・乱視・弱視、まれに目の病気が隠れていることもあります。「見えにくい」と言われたら、自己判断せずに一度眼科でご相談ください。

進行をゆるやかにする治療

近視そのものを「治す」ことはできませんが、進むスピードをゆるやかにする方法があります。当院では、お子さまの年齢・近視の程度・生活スタイルに合わせてご提案しています。それぞれの詳しい内容は、各ページをご覧ください。

点眼薬

低濃度アトロピン点眼
リジュセア®ミニ

1日1回、寝る前に点眼するだけ。日本で唯一、近視進行抑制の効能で承認された点眼薬です。

コンタクトレンズ

オルソケラトロジー

就寝中に装用して角膜の形をやさしく整え、日中は裸眼で過ごせる方法です。

コンタクトレンズ

MiSight® 1 day
近視進行抑制ソフトコンタクトレンズ

日中に装用する1日使い捨てのソフトコンタクトレンズ。毎日入れ替えるので衛生的です。

メガネ

ミヨスマート
近視進行抑制メガネレンズ

ふつうのメガネのように毎日かけるだけ。コンタクトが不安なお子さまにも取り入れやすい方法です。

※ いずれの治療も、効果には個人差があります。近視の進行を完全に止めるものではありません。まずは検査のうえで適応を判断し、定期的に確認しながら進めます。多くは自由診療となります。

よくあるご質問

近視は治りますか?

伸びてしまった眼軸長を元に戻す方法は、現在のところありません。ですので「治す」のではなく、これ以上進むスピードをゆるやかにすることが目標になります。
なお、成人後に眼鏡を使わずに生活したい場合は、レーシックなどの屈折矯正手術という選択肢もありますが、これは見え方を矯正する手術であって、眼球が伸びていること自体が治るわけではありません。将来の目の病気のリスクも変わらないため、お子さまのうちから進行を抑えることが大切です。

眼鏡をかけると近視が進むと聞きました。かけない方がよいのでしょうか?

適切な度数の眼鏡をかけることで近視が進む、という科学的な根拠はありません。むしろ、見えにくい状態を我慢するほうが目にも学習にも負担になります。黒板が見えにくいまま授業を受けると、姿勢も前のめりになり、かえって近くを見る時間が増えてしまいます。
大切なのは「かける/かけない」ではなく、度数が合っているかどうかです。定期的に検査を受けてください。

いつから眼鏡が必要ですか?

「黒板の文字が見えにくい」「遠くを見るときに目を細める」「テレビに近づいて見る」といったサインがあれば、ご相談の目安です。
必要な視力は学年や座席の位置、習い事によっても変わります。検査結果を見ながら、一緒に決めていきましょう。

スマホやタブレットが近視の原因ですか?

近くを長時間見続けること自体が近視と関係することは分かっていますが、機器そのものより「どのくらいの距離で、どれだけ続けて見るか」が問題になります。スマートフォンやゲーム機に特有の影響については、まだ研究が続いている段階です。
まずは「30cm以上離す」「30分ごとに休む」を習慣にしてみてください。

近視進行抑制治療は何歳から始められますか?

方法によって対象年齢が異なりますが、おおむね小学生から中学生が中心です。進行が落ち着く10代後半まで続けることが望ましいとされています。
近視が始まったばかりの時期ほど進行が速いため、早く始めるほど得られるものが大きいと考えられています。

治療を始めれば近視は止まりますか?

残念ながら、進行を完全に止められるわけではありません。あくまで進むスピードをゆるやかにする治療で、その効果にも個人差があります。
それでも、10代のあいだの進行を抑えられれば、大人になったときの近視の強さが変わり、将来の目の病気のリスクを下げることにつながります。

検査はどのくらいの間隔で受ければよいですか?

進行の状況によりますが、3〜6か月ごとの定期検査をおすすめしています。近視は少しずつ進むため、ご家庭では変化に気づきにくいことがほとんどです。眼軸長を継続して測ることで、進行のスピードを客観的に確認できます。

目薬をさす検査(調節麻痺薬)は必要ですか?

お子さまはピント合わせの力が強くはたらくため、実際より近視が強く測定されることがあります(仮性近視・調節緊張)。正確な度数を知るために、必要に応じて点眼を使った検査を行います。
点眼後は数時間〜1日程度、まぶしさや手元の見えにくさが出ます。学校や習い事の予定を考えて日程をご相談ください。

より詳しい情報をお求めの方へ

やや専門的な内容です。必要な方だけお読みください。

単純近視と病的近視のちがい

単純近視は、視機能の障害をともなわず、眼鏡やコンタクトレンズで容易に矯正できる近視です。学童期に始まる近視の多くはこちらにあたります。
病的近視は、眼球が大きく変形し、矯正しても視力が十分に出ない(矯正視力の低下をともなう)近視で、日本では失明原因の上位に挙げられています。
また、就学前から強い近視がある場合は、スティックラー症候群やマルファン症候群など全身の病気にともなう近視が隠れていることがあり、早期の詳しい検査が必要です。

近視の強さと合併症リスクの目安(数値)

報告により幅がありますが、近視のない方と比べたおおよそのリスクは次のように報告されています。

病気弱度近視中等度近視強度近視
緑内障約1.6倍約2.9倍さらに高い
網膜剥離約3.2倍約8.7倍約12.6倍
近視性黄斑症著しく高い
複数の疫学研究の報告をもとにした目安。研究によって数値は異なります。

※ あくまで集団としての傾向であり、個々の方が必ずこの倍率で病気になるという意味ではありません。

日本と世界における近視の増加

日本では、裸眼視力0.3未満のお子さまの割合も年々増えており、令和6年度は小学生で約10%、中学生で約27%、高校生で約42%と報告されています。1979年と比べると、いずれの学校段階でも大きく増加しました。
世界的には、2050年までに世界人口の約50%が近視、約10%が強度近視になると予測されています(Holden BA ら, Ophthalmology 2016)。とくに東アジアで近視の割合が高いことが知られています。

眼軸長という指標について

眼軸長は、角膜の頂点から網膜までの距離です。日本人の成人でおおむね24mm前後が目安で、1mm伸びるとおよそ2〜3D近視が進む計算になります。26mmを超えると強度近視、さらに伸びると病的近視の領域に近づきます。
視力や度数は、その日の体調やピント合わせの状態で変動しますが、眼軸長は短期間で大きく変動しない客観的な指標です。そのため、近視進行抑制治療の効果判定には眼軸長の伸び方が用いられます。

このページが参考にした情報源
  • 文部科学省「令和6年度 学校保健統計(学校保健統計調査の結果)」
  • 日本眼科学会「目の病気:近視」
  • 日本眼科医会「子どもの近視 ─ 増加する近視とその対策」
  • 日本近視学会「近視について(一般の方へ)」
  • 参天製薬「目の情報ポータル ─ 子どもの近視」
  • Holden BA, et al. Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050. Ophthalmology. 2016;123(5):1036-1042.

※ 掲載内容は作成時点の情報にもとづきます。診断・治療方針は、必ず診察のうえで個別にご説明します。

まずは、正確に調べることから

健診で視力低下を指摘された、近視の進み方が気になる——
どんなことでも、遠慮なくご相談ください。
検査の結果をもとに、お子さまに合った進め方を一緒に考えます。